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中学受験システムに一石を投じる 瀬川 松子さん

中学受験システムに一石を投じる 瀬川 松子さん

中学受験システムに一石を投じる 瀬川 松子さん

中学受験システムに一石を投じる 瀬川 松子さん

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中学受験システムに一石を投じる 瀬川 松子さん

中学受験システムに一石を投じる 瀬川 松子さん

瀬川 松子(せがわ まつこ)さん

1977年東京生まれ。お茶の水女子大学大学院博士後期課程に在籍中(専門は社会学ではない)。
90年代より、四谷大塚系列の塾で中学受験生を指導。その後、複数の家庭教師会社に登録し、多くの中学受験家庭に派遣されるが、過剰な利益追求への疑問から、現在は個人で活動している。
『中学受験の失敗学』(光文社新書、2008年)では、中学受験に取り憑かれ、暴走の末疲れ果てる親を 「ツカレ親」と名付け、大きな反響を呼んだ。尊敬する人は正岡子規。 ≫ 瀬川松子さん 公式ブログはこちら

中学受験がおかしなことになっている!

瀬川さんは一昨年、昨年と立て続けに本を出版されました。
今回のインタビューでは2冊目の「亡国の中学受験」について特に伺いたいと思っておりますが、まだ瀬川さんの作品をお読みになってない方にもお伝えするために前作との違いをお話しいただけますか?

2冊とも中学受験をテーマにしていますが、全く視点が違うものです。
1冊目の「中学受験の失敗学」は、私自身の家庭教師としての経験を踏まえて書きました。現場では親の暴走でつぶれそうになる子どもを見てきましたから、親のエゴに対する怒りのようなものもありましたし、「がんばれば合格できる」のアドバイスにも疑問を感じていました。だから中学受験に直面している人に本当に役立つ本が書きたかった。
仕事柄、受験本と言われるものをけっこう読んできましたが、こんなにうまくいくわけがないと思う事例ばかりが載っていました。一番厄介なのは、ああいう本を読んで、そこに出てくる成功例を中学受験のスタンダードだと思ってしまうことです。一握りの成功例をモデルにしたら、うまくいかない方が普通です。だから「中学受験の失敗学」は、志望校全滅ケースを反面教師にする本にしたんです。そういう本はありませんでしたから、出版後は子育て雑誌の取材を受けることが多々ありました。
そこで、「なんか変だぞ」と思うことが重なったんですね。本では確かに暴走する親を問題視しましたが、親を煽る受験業界やメディアの問題も大きい。そのことを取材の度に訴えたのですが、掲載された記事を見ると、全て「親が悪い」で終わっているんです。2冊目の本は、そこで感じた疑問が出発点でした。

暴走する親を煽るメディア。メディアの情報を素直に受けてしまうから、 さらに暴走するということでしょうか。

「私立中高一貫校に行けばバラ色。公立は負け組」というアドバイスがあふれていれば、「何が何でも志望校に入らないと」と暴走する親が現れるのも不思議ではありません。中学受験アドバイスは、語り口はやさしいけれど強迫的な内容で、私立をひとくくりに礼賛して公立不信を必要以上に煽るものがほとんどです。でも、本当にそうなのか?そう言っておいた方が都合のいい人たちがそう言っているだけじゃないのか?教育委員会への報告義務のある公立の不祥事が表ざたになりやすいのに比べ、私立の負の情報は報道されにくいという側面があります。
実際は私立だからこそ表に出ないマイナス面がいっぱいあるのに。それに、公立不信を煽る受験本には、単純な嘘も見受けられます。たとえば今度の学習指導要領改訂では指導内容も授業時間も増えるのに、「授業時間は増えないから不安です」と書かれていたり。それがまかり通ってきたのは、批判自体が存在しなかったからでしょう。そこにあえてツッコミたいと考え、2冊目を上梓しました。

本でも「中学受験のアドバイスの大半に指摘できるのは、それが利害当事者によって担われているということ。言い方を換えると、中立の立場から語られる言葉が、あまりに少ない」と述べられていますね。私立に対して甘く、公立に対して厳しいという瀬川さんのコメントも、共感できました。雑誌媒体では、いいように表現を換えられてしまうのは、そこに大きな利害が絡んでいるからという理由がありそうですね。
結局、雑誌も私立を持ち上げた特集を組むと売れますから、中学受験をマスコミが煽っているように受け取られるのは困るのでしょう。

雑誌の場合、私だけではなく受験業界のお偉いさんのコメントも掲載されますから、私が言った内容は無難な表現に編集されてしまいます。そこには確かにメディアのからんだ利害の構図がありますよね。1冊目の本は、そういうアドバイスを発信する側の問題に十分に切り込めていませんでした。あれを「親バッシングの本」という人もいるでしょうし、そう読まれても仕方ない面があります。でも、現実には、親バッシングでは済まされない根の深い問題がある。それで2作目は、もっと幅を広げて書けたらと。

中学受験がおかしなくなっているのは親だけの問題でなく、社会的な背景のシステムにあると言及されたのが2冊目なわけですね。
中学受験システムにおける現在の問題点とはズバリ何だとお考えですか?

この質問は難しいですね。問題がありまくりなので(笑)。一つ挙げるとすれば、中学受験のアドバイスをする側に、公共性の意識が全くないことでしょうか。忘れられがちなことですが、中学受験は誰にでも可能な選択肢ではありません。現実には、公立中学に進む子どもの方が圧倒的に多いのに、「公立に行くと将来真っ暗」というのは、大半の子どもの将来を全否定しているのと同じです。本当に「公立に行くと将来真っ暗」なら、公立を良くしようと働きかけるのが自然な流れでしょう。そういう素振りも見せず、受験業界の人々が10年近く喜々として公立バッシングを続けてきたのは、公立不信を煽って中学受験を勧めるビジネスモデルが出来上がってしまっているからだと思います。一方で少子化ゆえに生徒集めに必死な一部の私立と業界の癒着の問題もあります。そういう根深い病根のようなものが背景にあって、ただ公立不信を煽るメッセージが発信され続けているのは大問題です。

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