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いいお母さんより、幸せなお母さんに! 北村 年子さん「ホームレス」襲撃事件と子どもたち(太郎次郎社エディタス)
子どもたちの「いじめの連鎖を断ち切るために」「ホームレス」襲撃事件と子どもたち(太郎次郎社エディタス)

北村さんが取り組んでおられるテーマのひとつに、子どもや若者たちによる『「ホームレス」襲撃事件』の問題があります。野宿者と子どもたち双方の視点からそれぞれの思いを語られていますが、なぜこの問題に関わるようになったのですか。

子どもの問題に関わってきた私が、なぜ「ホームレス」の人々にも関心を寄せるのか、最初は自分でも無意識でした。長い間、言えなかったことですが、私の父は、私が12歳の時に命を絶ちました。当時、病気で働けなくなり、家にいた父の弱さを受け入れられず「逃げている」「甘えてる」と世間が野宿者を責めるように、私も父を責めていました。ある日、「もう死にたい」と弱音をもらした父に、「そんなに死にたいんやったら死んだらいい」と言ってしまった。そして、その数週間後、本当に父は命を絶ちました。私は自分を責め、「父を死の底へ追いやったのは私だ」という思いを抱えて生きてきました。28歳で初めて野宿者への支援活動に参加したとき、路上で出会うホームレスの人たちに、私は、かつての父の姿を重ねあわせ、「働けなくても弱っていてもいい、生きててくれてありがとう」と思いながら向き合っていたのだと思います。そしてホームレスの人を殺めてしまった若者に関わろうとするのも、私もまた間違いをおかした人間だと思って生きてきたから。私の中に加害者と被害者のどちらもいたから、いじめや襲撃の加害者となった少年たちを責められなかった。そして彼らもまたきっと「やり直せる」と信じています。

「いじめや襲撃は、自分を肯定できない生きづらさから起こるもの」という指摘にドキッとしました。加害者である少年たちが、自分を大切にできる感情が育っていれば他者を攻撃するようなことはなくなるのでしょうね。

加害者の少年たちへの取材を通して見えてきたことは、彼らもまたいじめられたり、過去に暴力の被害者であったり、学校や家庭からも孤立して安心できる居場所がなかったこと。そこには弱い者が、さらに弱い者を攻撃する「いじめの連鎖」の構図がありました。
暴力は、怒りの爆発です。怒りは二次的な感情ですから、根っこには必ず一次感情がある。それはモヤモヤとした無意識の感情、ストレスです。「つらい」「悲しい」「苦しい」というマイナスの感情を言葉にできず、「もっと頑張らなくちゃ」「こんなんではダメだ」と抑圧するうちに、表に出るのは「ムカつく」「イラつく」という怒りになってしまう。 この感情の爆発が暴力となり、弱い者へと向かう「いじめ・襲撃」となるのです。いじめや襲撃をなくすためには、その一次感情の「心の声」を聴き、つらい心を受けとめてあげること。そうでなければ、いくら説教して罰しても、暴力を解消することはできません。

それが「自己尊重トレーニング」につながっていくわけですね。今、学校のいじめは、私たち親世代の頃と違う形に変異して深刻化している…という話もあります。この現実をふまえて、どうすることができますか?

いじめは四重構造です。「被害者」は1人で孤立させられ、首謀者となる「加害者」はほんの数人、そのまわりで笑ってはやしてたる「観客」が1~2割程度。あとの7割~8割は見て見ぬふりしている「傍観者」、無関心層です。また、いじめのターゲットは変化しますし、被害者・加害者どちらも体験しているという子が多い。いつ自分が標的にされるかわからない恐怖の中で「やらなきゃやられる」と戦場のような状況を汲々として生きぬいている。日本では、大人だけでなく自死する子どもの割合は世界的に高い。それも圧倒的に男子が多い。2009年度調査によると19歳以下で自死した945人うち、男子が7割です。13歳以下男子の自死原因では、1.学校、2.健康、3.家庭という順でした。男子は特に「弱い」と思われたくなくて、親にも打ち明けられず「助けて」といえないまま、命を断っていく。そんな中で、いじめを解消していくには、まず最も多数派の傍観者たちが変わること。いじめっ子たちを「やめろ!」と制裁できるような正義のヒーローになれなくても、今いじめられている子に、一人一人が関心を向け、「おはよう!」「元気?」「今日一緒に帰ろう」と、みんながどんどん声をかけ肯定的に関わっていけば、いじめっ子はもう手を出せなくなる。無関心こそが最大の暴力です。弱い立場の者を孤立させない、見て見ぬふりしないこと。いじめられている子は、「助けて」といえる勇気を。そして、いじめている子には、必ずストレスの要因となっている心のつらさがありますから、彼らにもまた安心して感情を吐き出せる心の居場所となる「ホーム」が必要です。

受験や格差社会で休むことを許されず競争を強いられ、追いつめられている子どもたち自身が「ホーム・レス」だと、表現されていますね。これから北村さんが目指す社会とは?

「ホーム」とは、心が安心して帰ることのできる場所であり、ありのままの自分を受け入れてもらえる「人とのつながり」です。私が本当に目指すのは「ホームレス問題の授業」を通した『ホームづくり』です。襲撃事件がくり返されるのは、社会の大人たち自身の「ホームレス」への差別や偏見、無知と無関心が最大最悪の要因で、その意識が子どもたちに反映しています。大切な子どもたちを被害者にも加害者にもしないためには、まず大人が自らの差別意識を問いなおし、変わっていく必要があります。親でなくても教師でなくても、私たち一人ひとりが出会う子どもたちの「ホーム」になれるよう願っています。

学校のいじめ、ホームレス襲撃問題、そして子育てするお母さんの意識が実は根っこですべてつながっているということに気づかされてとても学びが多かったです。では最後に、北村さんがこれから特に力をいれたい活動はどんなことですか?

「自死遺児のサポート」です。私は12歳で自死遺児になってから、ずっと『お父さんを死なせてしまったのは私のせい』と罪の意識を抱えてきました。父の33回忌を過ぎた頃からやっと自分を責めることなく、自身の気持ちを語れるようになりました。自分を許すこと、認めることは、あるがままの自分を受け入れ肯定することにつながっています。人間はみんな間違うし、不完全なもの。私はようやくそんな自分も、父のことも、受け入れられるようになりましたが、「自殺はしてはならない悪いこと」「自殺したら地獄に行く」といった世間の罪悪視のなかで、今も声を上げられず、苦しんでいる自死遺族がたくさんいます。「自殺はダメだ」と声高に主張するよりも、当事者たちの心にもっと寄りそうケアが必要ですし、自死遺児たちがこれから希望をもって生きていけるよう、自分を許し肯定できるように、これからも励まし伝えてゆきたい。そして自死を防ぐためにも、周囲の人たちが、弱い立場、苦しい立場にある人への理解と関心をもてる社会になるよう、働きかけていきたい。誰もが、命を、自分自身を、大切に愛して生きていってほしいと、願っています。

---ありがとうございました!
北村さんの本を読んで、講演会でのお話しに、そして取材で話してくださる言葉一つひとつに、たくさん涙を流してしまいました。私の場合、子どもが幼少期の時は仕事に追われている上、支えてくれる人がたくさんいたので、後ろを振り返る余裕もなく楽しく過ぎていきました。でも、かわいかった子も難しい思春期を迎え、ワケがわからない親子関係になっていた時に出会ったのが北村さんの一冊でした。これからも迷ったり悩んだりしたら、「自己尊重トレーニング」を思い出して進んでいこうと思います。人として生きる限り誰でも参考になる考え方です!

<了>
取材・文/マザール あべみちこ

活動インフォメーション

●北村 年子さんの活動情報

月刊誌「赤ちゃんとママ」で「北村年子の幸せなママになるレッスン」を連載中。ママからの悩み相談に応える本〈赤ちゃんとママ社〉も現在執筆中。また、いじめに悩む10代たちを勇気づける本『生きてるだけで、ありがとう〈仮題〉』(太郎次郎社エディタス)が、近く刊行の予定。「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」の活動や授業実践なども、随時、こちらのHPで紹介されています。

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●書籍紹介

おかあさんがもっと自分を好きになる本(学陽書房)

「おかあさんがもっと自分を好きになる本」
北村年子 著  学陽書房
定価 1,470円(税込)
「ママだってほめられたい!」
この本には、ママが自分にやさしくする方法がいっぱい!
幸せな親のもとには、幸せな子どもが育ちます。
読むとスッと肩の力が抜けて、いつのまにか子育てがラクになる、魔法のワークブック!

» 詳細はこちらから

「ホームレス」襲撃事件と子どもたち(太郎次郎社エディタス)

「ホームレス」襲撃事件と子どもたち
北村年子 著  太郎次郎社エディタス
定価 2,310円(税込)
「道頓堀事件」から14年。子どもたちによる「ホームレス」襲撃はやまない。ときに命さえ奪う弱者嫌悪の根源に迫り続けたルポ。川崎の教育現場での取り組みを第 II 部に、この10年の事件と新たな取り組みを第 III 部に。前著に大幅加筆した完全保存版。

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