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切り絵アーティスト 福井利佐さん約3年間の制作期間を経て切り絵となった虫は見事なリアルさ。
細部までのこだわりが生命を与えた。約3年間の制作期間を経て切り絵となった虫は見事なリアルさ。

虫をテーマにした写真や絵本はたくさんありますが、切り絵の手法では初めて拝見しました。「おとのでるむし」という視点もおもしろいですね。

国立森林総合研究所で森林昆虫研究の博士、高梨琢磨先生と、奥様で東北学院大学教授で理学博士の土原和子さんというご夫妻が文を担当されています。福音館書店「かがくのとも」は図鑑的な要素があるため、必ず専門家の方が関わっています。高梨先生は以前から福音館書店では監修者として携わってらして、いよいよ先生の専門分野である「虫の出す音や振動」について絵本を作ることとなり、原案となる文章を「かがくのとも」で書いていました。そして次に、絵は誰に描いてもらうか?となったところで編集者の方が、私のことを知っていてくださって声をかけてくれました。絵を描く制作は2年間、その前に文章の方の準備として1年間要したのとのことで、トータル約3年かかっています。

切り絵の動き出しそうなリアルさに感動しました。今回の「むしたちの おとのせかい」作品へのこだわりはどんな点でしたか?

切り絵アーティスト 福井利佐

福音館さんでも完成品を見て驚かれたようです。細かなところまで監修の高梨先生に、それこそ爪の先までチェックをしてもらいました。腕の長さ、フォルム、角度…細かな点までみてもらいおかげで大変リアルに仕上がりました。実際、小さな昆虫を見ようとしても小さ過ぎて、研究者の写真でないとわからないものですから、たくさん資料をいただいて。スズムシやセミは静岡の実家近くで頼んで採取してもらい、カブトムシは幼虫の時に友人から提供してもらいました。実際に昆虫を見ないと、どの角度からこの手足が出ていて、このポーズの時にどこが動くのかわからないので。高梨先生は、森林開発でいかに地球の環境を汚染することなく、薬を使わずに害虫と言われる虫と共存して農家が安全な食べ物を作れるかなども研究されています。音や振動で虫が逃げるとか、昆虫の生態を知ることで共存できる。

おもしろいですね!虫を知ることは、巡り巡って環境を守ることにつながっている。

そうです。紹介している中でクロメンガタスズメはトマトとナスの害虫で、アワノメイガはとうもろこしの害虫。この2つは農家の人にとっては身近な虫。音を使って鳥を追い払ったり、音を使って雌をおびき寄せたり、音をなくして捕食するこうもりから身を守ったり、音と振動を使って虫も環境を守られつつ、農家の方にも安全な食べ物を作ってもらえる。そして、会場では展示のほかに虫の声や音がしています。よく聞けばドクドクドクと音がしていますが、これは土の中にいるカブトムシの幼虫が体を揺らして土の部屋にぶつかる音。音源は高梨先生からいただきました。

貴重な音ですね。木の幹や葉っぱなどの背景の切り絵もかなり精巧です。

背景も高梨先生の細かなチェックをうけて制作にあたりました。木の幹や木肌、トマトの葉っぱの分かれ方。へちまと違ってトマトは特殊で、何度もチェックが入りました。2年間の制作準備期間は28ページの絵を何度も何度もすべてチェックしてやり直す、の繰り返しでした。切り絵にするまで何度もチェックを経て、もう直しはきかないというところまで仕上げてようやく今年になってから切り絵制作。切るのは2か月間。1日最大8時間くらい制作し、睡眠も数時間が続いて倒れそうでした。毎日の工程表も全然予定通りにはいかず、毎回見直して……。

展示作品は福音館書店の絵本「かがくのとも」に集約されている。

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