■ご結婚おめでとうございます。心境の変化はございますか?きれいな奥様ですよね。有名ブランド店でお仕事をされていたとかで。
心境は基本的には変わりません。僕の一方的な一目ぼれ。ジュエリー担当の女性でしたので、買ったり修理に出したりでキッカケを掴むために通い詰めました。出会って3ヶ月目でようやく食事に誘うことができました。本当にこのために「話術」を身に着けたんじゃないかと思うほどでしたよ(笑)。
■見事ハートを射止めたというのは素晴らしい。ところで木久蔵師匠が落語家であることを小さな頃はどのように感じていましたか。
家に居ませんでしたね。今と比べて交通の便もよくありませんから、地方へ行くとまとめて仕事をしてきたりでして。子どもの生活サイクルと芸人のそれとはまったく逆なのでめったに同じ時間に起きていることはない。僕が大学を卒業するまでそんな感じでした。緊張していたので、なかなか近づかなかったようです。幼稚園くらいの頃は無邪気に、お弟子さんの真似をして覚えたフレーズを言って師匠を喜ばせていたみたいですよ。でも、当時は本当に忙しかったらしくて、たまの長い休み(夏・春・冬)は家族で旅行に行ったり、夜ご飯を外食したりくらいでしたね。
■当時はサラリーマンでも父親が家庭不在の時代でしたものね。では、きくおさんが本格的に落語を始めたキッカケは?
何の根拠もなくプロ野球選手になるつもりでした。子どもってある時期まで「自分は特別なんだ」と思っているようなところがありません?僕はそれが高校2年生くらいまで続いた。野球に必要なのは基礎トレーニングだ、と思ってずっと陸上で長距離(マラソン)をやっていました。で、編入で高2から野球部に入った。しかし、すぐに挫折しました。まずボールがあんなに痛いものと思っていなかったんですよ。キャッチボールちょっとするだけでつき指したりね(笑)。現実を知った僕は、「落語家の親父をもっているのに、スポーツ万能であるわけない」と気づいたんです。
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